『悲しい』『哀しい』『愛しい』。
どれも「かなしい」と読み、
誰にでもある感情を表す言葉です。
でも…この3つの違いと正しい意味、
ご存知ですか?
特に『愛しい』はあまり使わないので、
どういうときにどの漢字を使えばいいのか
悩みますよね…(-_-;)
そこで今回は
『悲しい』『哀しい』『愛しい』の違いを
調べてみました。
- 悲しい・哀しい・愛しいの違いとは?
- 愛おしいと愛しいの違いとは?
- 公用文で使われるのはどれ?
について詳しくお話しします。
古くから日本にあるこの3つの言葉を
正しく理解できれば、
なんだか感情が豊かになれる気がします(^^)
一緒に勉強していきましょう!
悲しい・哀しい・愛しいの違いとは?
『悲しい』『哀しい』『愛しい』を
辞書で調べてみると、
悲しい・哀しい・愛しい
心が痛んで泣きたくなるような気持ちだ。つらく切ない。《悲・哀》
身にしみていとしい。切ないほどにかわいい。 《愛》
(引用元:コトバンク)
という風に、
同じ意味として書かれています。
つまりこの3つの違いは
- こめられた気持ち
というニュアンス的な点にあるのです。
少し抽象的になりますが、
1つずつ詳しくみていきましょう。
1.悲しいの意味とは?
まずはスタンダードな『悲しい』から。
『悲しい』は辞書そのままで、
泣きたい気持ちやつらい気持ちのことです。
- 失恋して悲しい
- 雨が降って悲しい
- 転んで痛くて悲しい
など、いろいろな場面で使えます。
「悲」という漢字の「非」は、
羽が左右反対に開いた形から
「割れる」という意味があります。
これに心を合わせて、
「心が割れるような気持ち=悲しい」
となったといわれています。
2.哀しいの意味とは?
次は少しマイナーな『哀しい』。
『哀しい』と『悲しい』の意味に
明確な違いがありません。
しいていうなら、『哀しい』は
哀れな気持ちや哀愁ただようさまを
より主観的・詩的に表現した言葉です。
- 雨にうたれた子猫が哀しい
- 長雨で家庭菜園が全滅で哀しい
という感じでしょうか。
「哀」という漢字は「口+衣」でできています。
ここから、
「衣で口を押えるようなつらい気持ち=哀しい」
になったといわれています。
3.愛しい(かなしい)の意味とは?
最後にすごくマイナーな『愛しい』です。
「愛と書いてかなしいと読むなんて
初めて知った!」という方も
おられるかもしれません(^^)
でも中学生のころを思い出してください。
古文の時間に、『愛しい(かなしい)』と
出会っているはずです。
そう!『愛しい』は古い日本語なのです。
古文での『愛しい』の意味は
切ないほどに大切で可愛いことです。
大切なものを失うことを考えると
切なくなりますよね。
そのいとしすぎて切ない気持ちこそ、
『愛しい』なのです。
- 悲しい:
泣きたい気持ちやつらい気持ち。 - 哀しい:
哀れな気持ちや哀愁ただようさまを
より主観的・詩的に表現した言葉。 - 愛しい:
切ないほどに大切で可愛いという気持ち。
愛おしいと愛しいの違いとは?
『愛しい』に似た言葉に、
『愛おしい(いとおしい)』があります。
『愛おしい』と『愛しい』の意味は
今ではほとんど同じです。
しかし由来が違います。
愛おしい
『愛おしい』の由来は
「厭う=大事にする」という言葉です。
大切にするという意味から、
- たまらなくかわいい
- かわいがりたい
- 大切な存在
という今の『愛おしい』になりました。
愛しい
先ほどもお話ししましたが、
『愛しい』はもともと
切ないほどに大切で可愛いという気持ち
を表す言葉です。
これが現代まで残っています。
公用文で使われるのはどれ?
『悲しい』『哀しい』『愛しい』のうち、
常用漢字は『悲しい』だけです。
そのため公用文では『悲しい』が使われます。
まとめ
いかがでしたか?
『悲しい』『哀しい』『愛しい』の違いは
- 悲しい:
泣きたい気持ちやつらい気持ち。 - 哀しい:
哀れな気持ちや哀愁ただようさまを
より主観的・詩的に表現した言葉。 - 愛しい:
切ないほどに大切で可愛いという気持ち。
です。
意味はほとんど同じですし、
どれを使っても間違いではありません。
自分の気持ちに合わせて
使い分ければ十分です◎
ただ公用文では
常用漢字の『悲しい』を使いましょう。
『愛しい』に似た言葉で
『愛おしい』があります。
『愛おしい』は「厭う=大事にする」から
できた言葉で、
意味は『愛しい』とほとんど同じです。